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【原作沿い夢小説】オタク+オタク=?【HQ/影山飛雄】

第6章 4ページ目 らぶれたー?やぶれたー!


 影山は驚いて口元を押さえていると、パァっと目を輝かせて女子は言った。

「やったー!わーい!」

ぴょんぴょんと飛び跳ねて喜ぶ姿に、影山は益々状況が分からずに着いていけない。
 喜んでいる事だけは分かる。しかし何故喜んでいるのかが分からない。

「お、おい……?」

 しどろもどろに声を掛けると、女子は飛び跳ねるのを止めてギューッと両手を握りしめて言う。

「それじゃあこれからよろしくね!」
「あ……ああ?」

 完全に場の流れを持っていかれていて、反射の様に影山は頷いてしまう。
 何一つ理解していないと言うのに。

「それじゃあ、私もう帰るね!また明日~!」

 パタパタと手を振りながら、女子はさっさと帰ってしまった。
 最初から最後まで話が見えなかった影山は、一人取り残されてしまう。
 去り際が潔過ぎる位で、影山は呼び止めると言う発想も出てこなかったのだ。

「な……なんだった、んだ?」

 やっと絞り出した言葉は情けなく、影山は呆気に取られていて歩き出す事も出来ずにいる。

「あ……そう言えば…………」

 クラスメイトなのに、名前も知らないぞ、と影山は思った。
 クラスメイトだからなのか、それとも忘れているだけだったのか、最後まで名乗ってもらえなかった。

「……クラスメイト、なら……明日聞けば良いのか?」

 手には未だに果たし状が握られたまま、確認を取れない影山はそう答えを導き出す他、何も出来ないのであった。





「ふんふんふ~」

 影山からの返事を聞き、朔夜はスキップしながら帰り道を進んでいた。
 二次元から来たみたいな男である影山は、今日から彼氏になった。
 これは後でLINEで報告しなければ、と上機嫌で考えている。
 勿論、影山が『付き合う』と言う言葉の意味を理解していない事を朔夜は知らない。
 それもその筈。


 だって朔夜は付き合って、としか言っていなく、好き、と言う単語を発していないからだ。


「らぶれたー大作戦、成功したっ」

 えへへ、と朔夜は笑った。しかしその事にLINEでツッコミを入れられるまで、朔夜も告白の基本を忘れている事を本人も知らなかったのだった。
(2021,5,17 飛原櫻)
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