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☆姫の想い、彼の心☆ <イケメン戦国>

第2章 姫がいなくなった(政宗&蘭丸くん)


政宗「邪魔するぞ」


部屋につめていた者の誰もが顔を見合わせた。

この小姓部屋に滅多に来ない人物の上に、本人は奥州に向けて、ついこの間出立したばかりだ。


蘭丸「はーい☆どうぞ…って、まだ言っていないうちに襖を開けないでよ、政宗様」


蒼い目は蘭丸を無視して抜かりなく部屋を見回していた。


蘭丸「どうしたの、政宗様?奥州からとんぼ返りしてきたの?」


何か事情があると察した蘭丸は、政宗と廊下に出た。


政宗「とんぼ帰りか…まぁ、そんなもんだ。
 舞が数日前に青葉城から姿を消したんだ」

蘭丸「えっ!?誘拐?」


蘭丸の目が大きく見開かれた。


政宗「いや…それは考えられない。長旅の疲れが残っていると戌の刻(21時)に褥に入ったんだが、俺が子の刻(0時)に目を覚ました時には跡形もなく消えていた」

蘭丸「政宗様は一緒に寝てたってこと?」

政宗「当たり前だろう?疲れた顔をしている舞を一人で寝かせられるか。
 ちゃんとこの腕に抱いて寝かせてやったよ」


蘭丸がうーん、と難しそうな顔をした。


蘭丸「それだと確かに誘拐は考えられないね。
 政宗様が隣にいて、さらに腕で囲っていたなら舞様を気づかれないように連れ去るのは不可能だよ」

政宗「だろ?青葉城や城下を探させたが、手掛かりも目撃証言もない。
 舞が何か企んで姿を消したとしても、手掛かりが一つもないのはおかしいだろ?
 俺の領地の捜索は家臣達に任せ、俺だけ安土に引き返してきたんだ」

蘭丸「まーた、一人で突っ走って馬を走らせてきたの?ほんと、政宗様の家臣達が気の毒だよ。でも舞様は安土に居ないよ。
 帰って来たら真っ先に信長様の耳に届くはずだけど、何も報せはないもん」

政宗「そのようだな。さっき信長様にも会ってきたが舞が姿を消したことさえ知らなかった。今、安土城下に捜索の手配をしてくれている。
 念のため俺の御殿や安土城を探したがやっぱり居ない。蘭丸なら何か情報があるかと来てみたんだが……」


はぁ…と政宗が息を吐き、右手で髪をくしゃりとさせた。


蘭丸「女の人の足じゃ、そんなに遠くに行けないはずだし…」

政宗「まるで消えるように居なくなったってのが俺の印象だな」


蘭丸が『消える……』とポツリと呟いた。


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