第1章 日ノ本一の…(上杉謙信)(R-18)
助けてくれと振り返ると佐助君と兼続様が不憫そうにこちらを見ている。
誰も助けてくれそうにない。
無情にも部屋の襖がピシャリと締められた。じりじりと追い詰められ、背中がトンと柱にあたった。逃げ場がもうない。
逆光で謙信様の表情が仄暗く見えた。ひたりと私を睨みつけ、薄い唇が弧を描く。
謙信「お前が気を失うまで……、お前の夫が誰なのか身体に覚えさせてやる」
(け、謙信様がこんなに嫉妬深いなんてっ)
ちょっとどきっとしただけじゃないっ、と言い訳をしながら、視線を明後日に向ける。
「お手柔らかにお願いします…」
謙信「ふっ、ああ、『俺なりに』お手柔らかにしてやる」
その『お手柔らかな』交わりのせいで、私はまた部屋に閉じこもることになったのだけど、その理由を知っているのは兼続様と佐助殿だけだった。
END