第28章 狐の化かし合い(光秀さん)(R-18)
光秀「どうした」
「光秀様の恋仲に申し訳ないので、も、いい、です」
光秀「そんなに辛そうにしていて、そういう訳にはいかないだろう?」
「だい、じょうぶ…です!」
(居ない女のために我慢しようというのか)
「………はぁ……はぁっ……!……っ」
舞は小さく丸まって、色欲に耐えながら泣いている。
「も、いい。九兵衛様を…呼んでください。
気持ちなんかなくても、良い。誰でも良いから楽にして欲しい」
光秀「自暴自棄になるな」
パン!
なだめようとした手は振り払われ、弾かれた手が痛んだ。
「触らないでください!あなたが良くても恋仲の方が嫌でしょう!?」
媚薬に苛まれて、さらに俺の嘘にすっかり騙されて苦しんでいる。
事件の協力者に対してあまりにもひどい仕打ちだ。
(降参だ。楽にしてやるか…)
身体を起こして帯を緩めた。
身に着けているものを脱いでいると、何事かと舞が目を大きくしている。
「な、なんで、脱いで、るんですか?」
光秀「恋仲がいるというのは嘘だ」
「そうなんですか………う、嘘って言いました!?」
発情して男を誘っていた妖艶さはどこへやら、ヌケた顔をしている。
今夜見た様々な表情の中で一番愛らしいと、喉の奥に笑いを閉じ込めた。