第27章 魔女の薬(謙信様ルート)(R-18)
(謙信様ルート)
お二人に早く寝ろと隣室に追いやられ、私は1人で着替え、化粧は簡易時に落として布団に入った。
城中の女性達は避難したそうで、とても静かな夜だった。
春日山からついてきた女中さん達は私も一緒に避難をと言ってくれたらしいけれど、謙信様と兼続さんは『大名が次の手を打たないとも限らない』と傍に置くことにしたそうだ。
少しすると兼続さんが謙信様に退室の挨拶をして去っていった。
寝ろと言われてもまだ20時前。
二人の身を案じて寝付けずにいると、隣室から小さな呻き声が聞こえた。
(謙信様だ……)
襖の隙間から光が漏れていないところをみると行燈の火は消されている。
静かな夜に溶けきれない低い声。
くぐもった声は苦しそうで、様子を伺っているこちらも胸苦しくなってくる。
(大丈夫かな…)
傷を負っても呻き声ひとつあげずに戦う人が、隣で苦しんでいる。
部屋を移る際に『何があってもこの部屋に入るな』と言われたけど、声を掛けるべきか否か葛藤する。
(兼続さんに恋仲でもない男を慰めるのかと窘められ、私は何も言えなかった)
思い悩んでいると、また呻き声が聞こえてきた。
謙信「……く……うっ……」
(凄く苦しそう。まさか媚薬だなんて…)
性欲を満たせば苦しみは解消される。
わかっているけど私にはできそうにない。
(性欲を満たしてあげるなんて無理だよ。
謙信様だって私に何かされるなんて嫌だろうし…)
苦しむ声に耳を塞ぎ、言われた通りに部屋に入らないのが最善だ。
布団に戻って頭まで潜り込んで声が聞こえないようにするも、布団越しにハッキリと苦しむ声が聞こえてくる。