第26章 魔女の薬(共通ルート)
「ご心配ありがとうございます。
実は『舞さんを綺麗にする!』と、気合の入った女中さん達に帯をぎゅうぎゅうに締められたんです。そのおかげで呼吸が浅くて…それが幸いしたかもしれません。
薬の影響は今のところ、全くありません」
巻かれた帯をポンポンと手で叩くと、謙信様と兼続さんの表情が同時に緩んだ。
謙信「そうか。お前の仕度をした女中に褒美をやらなくてはな」
兼続「帰城したらすぐに手配を致します」
「私の心配よりも謙信様と兼続さんの体調が心配です」
2人とも汗をかいているし頬が赤い。
あきらかに普通じゃないのに、呑気に褒美の話を持ち出しているので、つい会話に割って入ってしまった。
謙信「俺達の心配はしなくてよい。今宵の件は解決してきた。
安心して眠れと言いたいところだが薬の影響を受けた男達が大勢居てな、今夜は念のため俺の部屋の隣で寝ろ」
「わかりました。それより謙信様、汗が…ひどいです。
本当に大丈夫ですか?」
謙信様も兼続さんと同様に流れるような汗をかき、呼吸の度に腹部が大きく動いている。
淡い光をはね返す瞳は静かでありながら、時折激しく揺れている…ように見えた。
謙信「この程度、何の問題もない」
私の視線から逃げるように謙信様は顔を背けた。