第1章 日ノ本一の…(上杉謙信)(R-18)
謙信「優しく抱けば…良いのだろう?
斬りかかってこいと言ったかと思えば、優しくしろと言う…。愛らしいな…静華は」
身体をひき寄せられて、端正な顔立ちがぐんと近づいた。この瞬間はいまだに慣れず、ぎゅっと目をつむった。
ちゅ……
「ん…」
これからする深い口づけを予告するように、挨拶のような軽い口づけをされた。
謙信様は慣れない私をいつも甘やかしてくれる。
(優しいな……)
一日目の初夜の時も、私が怖がらないようにたくさん言葉をかけてくれた。
緊張でがちがちなり、指の先まで強張らせている私に、梅を連れてきて和ませてくれた。
謙信『そんなに嫌ならばこのまま寝ても良い。ただし寝返って梅を潰すなよ?』
『嫌だなんてとんでもございません!ただちょっと初めてのことなので怖いだけで……』
謙信『せっかく俺の元に来てくれた静華に酷いことはしない。梅を抱いたままでよい、俺の膝の上においで』
そう言って笑ってくれた謙信様のお顔がとても優しくて、私は触れて欲しいとお願いした。戸惑う私にたくさん愛の言葉をくれ、少しずつ触れてくれて………結ばれたのは夜明け近かった。
謙信「何を考えている?」
声をかけられ現実に戻った。
「あ……初夜の時のことを…謙信様が優しかったなと……」
誤魔化しはきかないと、正直に答えた。
謙信「今、目の前でお前を愛している俺が居るというのに、静華は過去の俺を思い出しているのか」
謙信様は明らかに不機嫌な顔をして唇を寄せてきた。
(まさか過去の自分に嫉妬してる!?)
食べられるような勢いで唇を奪われ、さらに首を下から上にヌルっと舐められた。
「ん!」
たまらず顔を背けると、謙信様に向けた方の耳をかぷりと齧(かじ)られた。
少し乱雑な愛撫に謙信様の嫉妬を感じた。
「あっ、ごめ、んなさい、謙信様…」
謝っても謙信様の愛撫は止まず、身包(みぐる)みを剥がれていく。
(太陽があがりきっていないのに、こんなこと……)
男の格好は脱がせやすいと言っていた通り、本当にあっという間に着物類ははだけられてしまった。
腕に着物の袖が残っているだけで、明るい部屋で全てを晒している。
(………恥ずかしい。ついこの間まで誰にも肌を見せたことがなかったのに)