第21章 姫は間諜?(隠語・難易度1)
(省略)――――
舞が否定も肯定もしないので、このまま結婚の話がまとまるかという時に、訛りまくった言葉がそれを遮った。
女「なぁに(なに)舞ちゃんを虐めてんだ。
舞ちゃんが好きなのは政宗って男じゃねぇ、信長様だってへってらった(言っていた)よ?
違う男に嫁に出したらかわいそうだべな(でしょ)」
全訳「なに舞ちゃんを虐めてんの?
舞ちゃんが好きなのは政宗っていう男ではなくて、信長様だって言っていたよ?
違う男性に嫁がせたらかわいそうでしょ」
「み、美代さんっ!し、しー――!」
舞は美代の口を塞いで、ぎ、ぎ、ぎ…とぎこちない動きで二人の顔を見た。
信長が虚をつかれた顔をしていて、その後ろで政宗は声を殺して笑っている。
訛りがきつくても、今のは信長にもわかってしまったようだ。
「美代さん、今日はこのへんで!さようなら!!」
女「んあぁ?(んん?)んだばなぁ~(じゃあね)」
信長は走り去ろうとする舞の腕をつかんだ。
信長「言え。貴様は俺のところに来たいというのか?」
「えぇ…」
舞は真っ赤な顔で情けない声を出した。
(省略)―――
そう言って歩き出した信長だったが、ここに来る時の倍の速さで城に向かっている。
政宗は笑いながら後をついていき、寺は美代と子供達だけになった。
女「話は済んだみてぇだなぁ」
いがった(良かった)、いがった(良かった)~と笑った美代の元に、翌日、信長から褒美と称した贈り物がたくさん届いたという。
女「こりゃあ(これは)たまげた(びっくりした)。舞ちゃんの旦那ぁ、おどごぶり(かっこいい/見た目)だけじゃねえ、羽振りもいいんだなあ。
だども(だけど)これ、どうやって持ってかえんべ(帰ろう)……」
(全文訳)「これはびっくり!舞ちゃんの旦那は、かっこいいだけじゃなく、羽振りも良いんだなあ。
だけどこれ、どうやって持って帰ろう……」
嬉しさ一転困った美代だった…。
END
美代さんが話していた内容は、姫様の想像していた通りだったでしょうか?
次回作で、お会い致しましょう。良いお年を!