第19章 蘭丸君とメリークリスマス(2022年)
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顕如「蘭丸、この式神の人形はなんだ?」
蘭丸「式神なんて物騒なことをいわないでください、顕如様。
それはジンジャーマンと言って、ショウガ男だそうです。あとは贈り物を入れる靴下と、クリスマスツリーです」
顕如「ショウガ男?贈り物を入れる履物??」
顕如は毒気の抜かれた顔でジンジャーマンを見ている。
戸惑いが見え隠れする顕如の表情に、蘭丸は嬉しくなって笑った。
教えてもらったクリスマスの知識を顕如に伝えた後、蘭丸は自分宛の包みを開けた。
蘭丸「これはなんだろう?前はなかった形だな」
蘭丸はハートのクッキーを手に取り、首を傾げた。
可愛らしく頬を染めて、『これは蘭丸君用だよ』と渡された包みの方にだけハートのクッキーがたくさん入っていた。
顕如の手元を確認してもハート型は見当たらなかった。
蘭丸「このお菓子は最近とても仲良しになった人に頼んで作ってもらったんです。
クリスマスのお話もその子が教えてくれたんです」
顕如「ショウガ男が居るなら、ショウガ女も居るのか?」
大真面目に質問されて、蘭丸は面喰った。
そこまでは聞いてない。
蘭丸「それは…今度聞いてきますね」
頭をかきながら蘭丸が言うと、顕如はわずかばかり表情を崩した。
顕如「縁があって知り合ったのだから、その人を大事にしなさい」
静かな声には顕如が本来持っている優しさが滲んでいる。
蘭丸「はい」
顕如は靴下とジンジャーマンを見比べ、靴下から食べ始めている。
蘭丸「いっただきまーす☆」
ハートのクッキーを半分に割ってはいけない気がして、蘭丸は一口で食べた。
小さな口でクッキーを一口で食べていた舞を思い出すと、口に放ったクッキーがとても甘く感じられた。
蘭丸「おいしいですね、顕如様」
顕如「ああ、美味しいな」
目を輝かせて笑う蘭丸に、顕如は頬を緩ませた。
END
クリスマスの奇跡が、舞様と、この世界の人々の心を、温かさと愛でいっぱいにしてくれますように
メリークリスマス
2022/12/24 飛香