第17章 あなたの愛に完敗(光秀さん)(R18)
(姫目線)
今日はやることがあるから一緒に寝られないと言ったら、光秀さんは『根を詰めすぎるなよ』とだけ言ってくれた。
「うぅ……珍しく光秀さんが帰ってきているのに一緒に寝られないなんて」
ハサミを動かすたびにパチン、パチンと音が響く。
「手に入ったコレ、長持ちするかわかんないから早く作りたかったし、作業は夜にやりたいんだよね」
陶器の器には光が入らないように蓋がしてある。
本来は無性透明で長持ちする代物だけど、この時代で用意できたのは少し黄色を帯びていて、耐久性がどのくらいなのかもわからない。
細長い玻璃の器に、切ったものをバランスを見ながら入れていく。
ガラスは戦国時代ではとても貴重で、南蛮とのやり取りで偶然流れてきたものを信長様にお願いして譲ってもらった
本当は文様が入っていないシンプルなものが欲しかったのだけど、選り好みはできなかった。
「こんな感じかな」
器には真っ白な丸石が数個入れてあって、行灯の光を鈍くはね返している。
菜箸で中身のバランスを整え、陶器に入っていた液体を注いでいく。
「あ、浮いてきちゃった。えっと、これを追加して……、それよりこっちの茎をストッパーにする?うーん………花の色がミスマッチな気がする。白い石じゃない方が良かったかなぁ?」
カラーコーデの資格を取っておけば良かったと後悔しても遅い。
中身を取り出して、また入れる。それを繰り返していくうちに夜は更けていった。