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☆姫の想い、彼の心☆ <イケメン戦国>

第13章 姫がいなくなった(信長様)(後編)


(信長目線)

行方不明になっていた舞が天主の屋根に現れ、城は早朝から騒ぎになった。

庭に真っ逆さまに落ちてきたのを寸でのところで掴まえ、逃げぬように腕にとじ込めた。
柔らかい唇を我が物にした時は胸が躍るようだった。

ところが庭から天主に駆け込んできた秀吉が、舞の無事を確かめるや否や、


『どこへ行っていたんだ』
『どうやって天主の上にあがったんだ』
『落ちたら死ぬところだったぞ』
『信長様の膝から降りろ』


粗方予想はしていたが、くどくどと始まった説教は止まらなかった。
心配の裏返しでこうなっているのだろうが、正座して受け答えをしていた舞は足を痺れさせていた。

恋仲の女が苦痛を感じているのを黙って見ている俺ではない。


信長「………」


秀吉の後方に控えていた光秀に視線を送ると、小さく頷き、背後に控えている部下に指示を出した。

そうして頃合いを見計らって秀吉に話しかけた。


光秀「秀吉、伝えるのを忘れていたが昨夜遅くに西国より使者が来たぞ。
 お前はすでに寝ていると一晩客間で休んでもらった。そろそろ起きだして待っている頃だと思うが……」

秀吉「っ、そんな大事なこと早く言えっ!
 信長様、舞、この続きは後ほど。舞はそのおかしな着物をどうにかしておけ」

「おかしな着物って……酷い、秀吉さん」


安土に藤の花が咲く頃だとわざわざ選んだ装いを注意され、舞はうな垂れている。


信長「秀吉。俺の恋仲にケチをつけるとはわかっているのだろうな?」


舞を引き寄せると控えていた家臣達が騒めいた。
秀吉は愕然として言葉を失くしている。


家臣1「舞様がお館様の恋仲?」

家臣2「い、いつからだ?」

秀吉「っ、静まれ。信長様、その話は後でお聞きします。
 舞、ここで俺が帰ってくるのを待っているように、わかったな」

「は、はい」


後ろ髪を引かれるように秀吉は天主を去っていった。


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