第9章 姫がいなくなった(家康)
――――
1年後 駿府城
ムカつくくらいにこやかに笑いながら、三成がやってきた。
三成「家康様と舞様のお子様の様子を見てこいと、信長様の使いで参りました」
「わぁ、三成君、いらっしゃい!」
家康「また来たの?半月前にも様子を見に来たじゃない。
お前、ちゃんと仕事してるの?」
三成「ええ。こうしてここに居るのも信長様から頂いた仕事ですから。おや…半月前よりも大きくなられましたね」
「でしょでしょ?ますます家康にそっくりになってきたよね」
三成「ええ、そうですね」
三成が息子を抱き上げている。
家臣「やはり舞様には旦那様が二人いるようですね」
家康「……それ、本気でやめて」
なんだかんだと信長様の代筆で俺に書状を書くのは三成で、やっぱり舞が見たという歴史はその通りに進んでいるみたいだ。
家康「はぁ……」
舞が結び付けた、切っても切りたくても切れない腐れ縁に、俺は大きなため息をついた。
END