第8章 姫がいなくなった(秀吉さん)
秀吉「今すぐ舞を感じたい」
「え、待って……ん!」
畳の上に押し倒されて口づけされた。
羽織をはだけられ、露わになった肌の上を熱い指が触れてくる。
チュ、チュ……と音をたてて執拗な口づけをされていると、それに混じって外からは鳥の鳴き声が聞こえた。
「ん……あ、待って、秀吉さん。私、ずっと疑問に思っていて…。
私ってなんの鳥になっていたの?」
チュ…とひと際強く吸われた胸の谷間にキスマークがついていた。
秀吉さんが胸の膨らみに舌を這わせながら、上目づかいで私を見た。
秀吉「ん…?なんだ知らなかったのか?
メスのお前が可愛らしいから、最近うるさいって家康が言っていただろう?ほら、今も鳴いた」
「え…?」
二人で耳を澄ませていると………
ホ~~ホケキョ!
鳥にそんなに詳しくない私でも知っている鳴声がした。
「え!?ウグイス?私、ウグイスだったの?」
秀吉さんが落ち込んでいる時に『チャ~チャ~』としか鳴けなかった自分が、まさかウグイスに変身していたなんて思いもしなかった。
秀吉「あれはオスの声だからな、お前は鳥になっても女の子だったろう?
メスはあんなもんだ。でも今思えばウグイスのお前も可愛くて良かったな……」
「?」
秀吉「返事をしたり、怒ったり、俺のために歌ってくれようとしただろう?」
また1つ赤い花が咲いた。
「んっ!」
秀吉「……今度は舞を気持ち良くさせて、啼かせてやるよ」
「あっ………」
部屋は甘い空気で満たされ、触れ合える喜びに夢中になる二人の耳には春の歌声。
秀吉「まだ足りない。もっと欲しい…」
「は……ぁ」
鳥のさえずりに混ざる甘く高い啼き声。
それに気が付いた者は…………