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☆姫の想い、彼の心☆ <イケメン戦国>

第39章 桜餅か桜酒か(信玄様&謙信様)


そうして始まったのはやっぱり王様ゲームだった。

最初は遠慮がちな命令ばかりだったけれど、回数がかさなるごとに命令が難しいものに変わっていくと、場は大いに盛り上がった。


幸村「よしっ、俺が王様だな。
 んじゃあ、3番が二人羽織で2番にモノを食わせる」

「え!?私、3番…」

謙信「俺が2番だ」

「え、私が謙信様の羽織にもぐりこんで食べさせるんですか?
 幸村、本気?」


羽織にもぐりこむで、ムリ1!

謙信様にあーんのハードルが高すぎる。ムリ2!!

謙信様は絶対拒否するはず。ムリ3!!!

こわい。ムリ4!!!!?

兎に角(とにかく)、全力でムーリーだよ~~!と叫びたい。

それなのに幸村と言えば得意げな顔でフフーンと笑っている。


幸村「ぜってー変更なしだ!さっき散々笑った仕返しだっ」

「私は笑う前にいっぱい助けてあげたじゃん!」

幸村「いーから、お前もやってみろよ」


幸村の顔にはありありと『謙信様が食べ物を押し付けられている姿を見たい』と書いてあった。

とんでもないことになったとクジの棒を見つめたけれど、数字が変わるはずもない。


(どうしよう…)


謙信「お前に何をされようが怒らない。さっさと来い」

「え、えぇ…ほんとにやるんですか~?
 謙信様の羽織に潜り込むなんて…できません」


佐助君に助けを求めて、余計こじれて窮地に陥っているんだから本末転倒。

とりあえず『来い』という命令には従おうと、そろり進んで謙信様の背後に立った。


「え、と……」


しゃがむでもなく胸の前で手をもじもじさせていると、謙信様は既に腕を抜いた羽織の前を広げ、私が入りやすいようにしてくれた。


謙信「何をそんなに躊躇っている?おいで」


柔らかい表情に優しい言葉。

それでも躊躇すると、謙信様は怖がっていると思ったのか重ねて誘いかけてくる。


謙信「たかだか余興だろう。誓って怒りはしない」

「う…」


上機嫌にも見える謙信様を、また不機嫌にさせてはいけない。勇気を出して高級そうな羽織の中に入り込んだ。


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