第36章 姫の年越しシリーズ(2024年)・12月31日
女1「……以上が本日の舞様のご報告でございます」
信長「下がれ」
『信長の耳』のうちの1人から他愛ないが興味深い報告を受けて、信長は天主で1人考えていた。
大みそかの宴が催されている大広間から琵琶や笛の風流な音が流れてくるが、信長の耳を素通りするだけであった。
信長「三が日ともなれば舞もせわしく働かんか…。
絶好の機会だ」
信長は挑発的に笑って1人酒をあおった。
精悍な顔立ちに浮かぶ笑いは、来年のことを言うと笑うという鬼も逃げ出すほど恐ろしく冴え渡っていた。