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☆姫の想い、彼の心☆ <イケメン戦国>

第5章 姫がいなくなった(元就さん)


大海原に浮かぶ、大きな商船。

春が訪れ、日の強さが日に日に強まっていくのを直に感じる船の上で、事件は密かに起こっていた。


船員1「おい、最近お頭(かしら)の様子がおかしいと思わないか?」

船員2「そうそう!俺もそう思った!」


船の片隅でひそひそと話している二人の背後に影が忍び寄ったが、二人は気付かずに話を続けている。


船員1「お頭が連れてきた舞様も姿を見てないよなぁ」

船員2「先週、いやその前からか?姐(あね)さん、寝込んでんのかな」

船員1「だったらすぐ陸に向かって医者にかかるだろう?ただの喧嘩じゃないのか?

船員2「喧嘩だったら部屋にとじ込めたら余計空気が悪くならないか?」

船員1「はぁ、お頭が機嫌悪いと俺達もやりづらくて仕方ねぇ」

船員2「姐さんと喧嘩したんなら、早く仲直りしてくれねぇかな」

船員1「その前にお頭と姐さんはどういう関係なんだ?」


うーんと二人が首を傾げていると…


元就「お前ら、無駄口叩いてるんなら、暇だってことだよなぁ?」


ドスのきいた声に話していた二人は口を噤(つぐ)み、後ろを振り返った。
そこには噂の主が剣呑(けんのん)な顔つきで立っていた。


船員1・2「「すみませんでしたぁっ」」


不機嫌な元就には関わらないのが最善。
勝手知ったる二人は頭を90度下げてから、一目散に去っていった。

下手に留まろうものなら拳銃を向けられかねないからだ。


元就「ったく、目を離すとすぐさぼりやがって」


元就は悪態をつきながら、自室へと向かう。
しかしその悪態はどこか空虚さを含んでいた。


ガチャ


鍵を開け、中に入った。
血のように赤い目が、ぐるりと室内を見回す。


元就「チッ…何度見てもいねえな…」


鍵を仕舞い、ベッドに腰かけた。


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