キミだけのヒーローに.......【ヒロアカ/爆豪勝己】
第8章 #5 英雄
「……絶はつえーから、大地に個性の使い方教えてもらおうとしてた」
「アンタまた呼び捨てで!」
怒鳴る母親を宥めながら、大地はまた俺の目線に合わせる様にしゃがむと、笑顔で言ってくる。
「勝己君はもう個性発現したのかな?」
「……まだ……だけど…………」
個性発現は一般的に四歳辺りからだ。
俺達に個性が出るのはもう少しだけ先の話、になる。それでも今から自分の個性には期待しかないし、使いこなせる様になりたいに決まっている。
「つえー個性持って、オールマイトみたいなヒーローになるんだよ」
「それは良い目標だね」
俺の言葉に相変わらずの表情でいる大地に、出久もぴょんぴょん飛び跳ねながらアピールをしてきた。
「僕も僕も!オールマイトみたいな格好良いヒーローになりたい」
「あはは、やっぱりオールマイトは老若男女に人気のヒーローだなぁ。それじゃあ勝己君も出久君も頑張ってヒーローにならないとならないね」
大地の言葉に目を輝かせる出久。ヒーローになりたくない、なんて言う奴は今のご時世いないし、子供ならば尚更言う夢だ。
そんな子供の言葉にも大地はしっかりと答えてくれていると俺は判断した。
だから……。
「個性出たら大地、使い方教えてくれるのか?」
じぃっと見つめながら問うと、大地は顎に手を宛てがいながらに言う。
「そうだなぁ……個性は人それぞれだから向き不向きあるし、何よりも親御さんが良い、って言わないと個性は危ないからなぁ」
良いとも駄目とも言わない大地の返答。だが、余り乗り気でない事だけはすぐにでも理解出来た。
「つか大地の個性は何なんだよ?」
「俺?俺の個性は子供が好きになる様な派手なタイプじゃないからなぁ」
この答え方、耳にタコが出来る程に聞き飽きていた。絶に個性の事を聞く度に返ってきていた言葉だ。
つまり、大地も個性の事を教えるつもりがない、と言う意思表示であった。
「何だよ……絶も大地も個性教えてくんねーの」
不貞腐れて吐き捨てる様に言っても大地は怒る様子はなく、笑顔を崩さないままでいる。
ここまで怒らない大人もまた珍しくて、調子が狂ってしまう。
「まぁ、個性なんていちいち見せびらかすモノではないし、必要な時に必要なだけ使うのが一番だね」