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【R18夢小説】手に入らないモノを求め【HQ/影山飛雄】

第4章 第一話 キッカケ


 首元からちらっと見える鎖骨、その先にある胸(モノ)。触れようと思えばすぐに届く位置にそれはあった。

「それじゃあ清水先輩に伝えてくるねっ」

 無意識に伸ばしかけた手に全く気が付かなかったらしく、池ヶ谷は笑顔で清水先輩の下へと駆け寄っていってしまう。行き場の失った手を眺めている間に話が進んだらしい。
 楽しそうに笑う視線の先にいるのは清水先輩だけじゃない。
 烏養さんや菅原さんもいる。楽しそうに笑う笑顔は先程俺に向けていたモノと全く同じであり、あの笑顔は俺だけに向けられているモノでないと改めて自覚してしまうと、心に靄がかかる。
 必死に理性を保っていると話終わったらしく、池ヶ谷が駆け足で俺の元へと戻ってきて言った。

「それじゃあ今日はもう上がりだから行こうよ」
「…………へ?」

 話を聞いていなかったのだから話が見えず、つい変な声を出してしまうと、頬を膨らませながらに言われてしまった。

「だから東京遠征に向けての買い出し。影山君お店詳しいから案内してくれるって約束だったでしょ?忘れた、とは言わせないからね」

 言われてこの間そう言う話が上がった事を思い出した。そう言えばそうだ、最近理性を保つ事ばかり考えていてすっかり忘れてしまっていた。
 部活が終わってからでは店が閉まってしまうから、部活を切り上げして行くと決まっていた事を。


「早く行こう。夏だからって油断してたら暗くなっちゃうもん」


 ぐいぐいと俺の背中を押しながら、池ヶ谷は笑顔で練習を続けている皆に向かって言った。

「それじゃあ私と影山君は上がりますので、お先にお疲れ様ですっ」

 池ヶ谷の言葉に体育感中から響く挨拶を背に、俺は部室へ戻りサッと着替えを終える。同じく着替えを終わらせているだろう池ヶ谷と待ち合わせした場所へ向かった。
 木陰で休んだところで暑さが無くなる訳ではなく、パタパタと下敷きを扇いでいるので声をかける。

「待たせた、な……」
「全然全然!更衣室から暑くて下敷き扇ぎだよ~」

 へらへらと笑う姿すら厭らしく見えてしまうのは、俺の思考がおかしくなってしまっているからに決まっている。そう必死に自分を納得させて、出来るだけ視線を首より下へ落とさない様に必死に欲望を制御する。部活用のシャツよりも薄い制服のYシャツなんて、今の俺には毒でしかない。
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