第14章 近親相姦シリーズ 菅原孝支の場合
私の胸を見て何を考えているのか分からなかったけれど、ゴクリと喉を鳴らす音が微かに聞こえた。
期待しても、良いのかな。
「本当にごめん!俺自分の部屋に戻ってるからっ !! 」
大慌てで去っていく兄の背中を見送りつつ、まだ興奮したままで動悸が激しい。
(胸……揉まれた…………気持ち良かった……)
揉まれた感触を思い出すと、下半身がキュンとした。
身体が兄を……孝支を求めている。
そして、同時に孝支の身体も……。
「部屋に戻らなきゃ……」
興奮で覚束無い足に力を込めて、着替えると自分の部屋へ戻っていった。
◆
脱衣所での事件から一週間が過ぎた。何も変わらないかと思っていたら、そんな事は無かった。
私と目が合うとあからさまに兄は顔を逸らしていた。それにお母さんから喧嘩したのか、聞かれたのでそんな事は無い、と説明した。
兄が私と目を合わせない理由は分かっている。
孝支が私の事を女と、異性として意識しているのだ。
(意識してくれてる今なら……)
一週間、様子を見て結論付けた私は今夜、実行するしかないと覚悟を決めたのだった。
◆
またただの兄妹に戻ってしまう前に、妹としてでなく女として意識されている内に。
日付が跨ぎそうな時間、暗闇に包まれている廊下を歩き、音を鳴らさずに兄の部屋を開けた。
電気は消えていて、ベッドが膨らんでいて就寝しているのだと確認をした。
足音を立てずにベッドまで行き、気が付かれない様に掛け布団を捲って寝ている兄の上に跨った。
動悸の音しか聞こえない静寂の中、静かに寝息を立てている兄の唇に自分の唇を重ねた。
異性と意識している相手とのファーストキス。
(好き……孝支好きっ)
執拗な迄にキスをして、孝支の口が少し開いたのでドキドキしながら舌を入れてみた。
孝支の口の中はこんな味だったんだ、舌ってこんなに柔らかいんだ、と酔いしれながら味わってしまう。
そして息苦しさからか、それとも違和感からか、やっと目を覚ましてくれた。
「……んっ !? なにしっ…… !! 」
引き剥がそうとして肩を掴んだ孝支の動きが止まる。肩から二の腕へと手が滑っていき、私の姿に気が付いた様だ。
「おま……っ」
目覚めたばかりでまだ暗闇に目が慣れていなくても、触感で分かったのだろう。