第14章 近親相姦シリーズ 菅原孝支の場合
誰にも言えない秘密。
絶対に知られてはいけない秘密。
その秘密を抱えて、今日も生きていく。
近親相姦
菅原孝支の場合
爽やかイケメンと呼ばれる兄。
部活動でも頼れる先輩みたいで、誇れる兄である。
そして、私はそんな兄を異性として恋をしてしまっていた。
「ねぇ、兄ちゃん」
「ん〜、どうしたべ?」
授業で分からなかった所を教えてもらっていた。兄は勉強を教えるのが本当に上手で、将来教師にでもなろうかな、と笑いながら言っている位である。
教師になったら絶対に人気が出るのだろうな、と思いながら冗談の様に軽い口調で言ってみた。
「私、兄ちゃんの事好きになった言ったらどうする?」
「どうするも何も俺だって好きだべよ。兄妹なんだから当然だべ?」
当たり前過ぎる返答に、ぷぅっと頬を膨らませた。そりゃあ兄妹なんだから、恋情ではなくて家族愛だと思われて当然なのだけれど。
「兄ちゃんとしてじゃなくて、男の子として好き言ったらどうする?」
少し真剣に尋ねてみると、兄の手が止まった。そして私の事を真っ直ぐに見ると、ノートを丸めてポコっと軽く叩かれてしまった。
「兄で遊ぶんじゃない」
本気なのだけれど、伝え方が悪いし伝わっていない。分かっていたけれど、兄は私を異性として見てくれていない。
妹なのだから当たり前か。
「で、分からない所は分かったべか?」
「うん、分かった」
これで明日は大丈夫なんだろうな、と安心しながらテーブルの上を片付ける。
トン、と手が触れ合ったけれど全然意識されていないのが分かる、反応のない兄。
(私、女として魅力ないのかなぁ……)
はぁ、と溜息が漏れた。
スタイルが良い訳じゃないけれど、それなりに胸もあるし、ちょっと位意識してくれてもいいのに。
「それじゃあ俺、部活の事でやりたい事あるから、また明日な」
ぽん、と頭を撫でられてしまい、大人しく部屋に戻るしかなかった。
◆
「はぁ〜〜…………」
お風呂上がり、脱衣所でパンツだけの姿で鏡を見ていた。
兄の入っている部活にいるマネージャーさんは他校でも有名な程に美人な人。
実際に見た事もあるけれど、本当に綺麗な人だった。
そんな人が身近にいるのだから、私なんかが異性として兄に見てもらうなんて難し過ぎる。