第2章 二人の生活
家事も完璧。
来客の応対も完璧。
宇髄が家に帰ればきちんと湯浴みの用意もしてある。
隊服の洗濯を任せても皺一つなく返ってくる。
聞いたところによると、実力も相当なようで、鬼殺隊のなでも将来有望と目されているようだ。
正直、宇髄は少女をどうしたらいいのかわからなくなっていた。
本当は早々に追い出すつもりであったが、少女の悪いところも見つからず、料理も美味しく、人当たりも良く、追い出す理由が見つからない。
「ひなたは元気にしていますか?」
宇髄は目の前に意識を戻す。目の前には蝶屋敷の主人である、蟲柱・胡蝶しのぶが座っていた。
珍しく、体を確認したいからと蝶屋敷に呼ばれたが、本当はひなたのことを聞きたかったようだ。
「あぁ、派手に元気だ。昨日から任務に行ってる。」
宇髄は昨日の夜に、いって参ります、と頭を下げたひなたを思い出した。
「勝手にうちに来たから、最初は変な奴かと思ったけどな。」
「それには私も驚きました。彼女、そんな勝手をするような子ではないのです。」
しのぶは、やれやれと溜息をついた。
なんでも、宇髄邸から帰って来たひなたは、音柱様の継子になる、と宣言し、蝶屋敷の皆が驚いている間に荷造りをして出て行ったようだ。
「あの子がいると仕事が捗るんですが。仕方ありませんね。」
ひなたは、任務のないときは、蝶屋敷の手伝いをしていたようだ。
「あ、一つ言っておきますが、、、」
しのぶが立ち上がる。
「あの子を傷つけたら許しませんよ。」
笑顔のしのぶの後ろに黒いオーラが見えた気がして、宇髄は
「はい、、、」
という他なかった。