第5章 少女の才能
宇髄は素直を感心した。
ひなたの打ち込みを見たが何の問題も無く、花の呼吸を使うと言うのでそれも見せてもらうが、文句のつけようがなかった。
息も上がっていないから、体力的な問題もないだろう。
ただ一つ気になったことがあった。
「、、、お前、剣道やってたのか?」
宇髄の言葉に、ひなたは驚いた顔をする。
「その足捌き、剣道のだろ。体にしみついてる感じだな。ここ1、2年のもんじゃないな。」
その言葉にひなたは素直にうなづく。
「父が剣道の道場をやっていました。私も幼い頃から指導を受けていましたので。」
ひなたは寂しそうに微笑んだ。
「悪い。思い出させたな。」
宇髄が慌てて言うと、ひなたはゆっくりと首を横に振った。
「足捌きを指摘されたのは初めてです。さすが音柱様です。」
宇髄は無性にひなたを抱きしめたくなった。
それは彼女の寂しそうな笑顔のせいだろう。
「私のことはいいので、音柱様も稽古を。」
ひなたに言われ、宇髄はまた刀を持って立ち上がる。
愛しい少女の目を自分だけに向けさせるために。