第8章 指名
「よぉ、久しぶり」
目の前に立つ男は、驚いたように少しばかり目を見開く。
「マジか」
「大マジ、元気ピンピンだよ」
「反転術式ッ」
「正っ解っ!!」
その瞬間、その男の後ろの光景を見て俺は目を見開いた。
「おい、テメェの後ろ…」
そんな俺の言葉に、「あぁ」と男は軽い言葉を吐き出すと。
「運が良けりゃあ生きてるかもな」
男の後ろには、大量の血を流しうつ伏せに倒れているリンの姿。
あぁ、頭がおかしくなりそうだ。
アイツのあんな姿を見て正気でいられるわけが無い。
ただでさえ高揚感が抑えられないのに。
ーーーーーーーーコイツを、殺す。
反転術式によって生まれた正の力
その力を自らに刻まれた無下限の術式に流し込む
反転術式
【赫】
ドドオオオォォォンーーーーッッ!!!!
かなりの距離と威力が辺り一面に放たれ、男は吹っ飛んでいったはずなのに。またゆっくりと体を起こしニヤリと笑う。
「ハッ」
「化物が」
ごめん、天内
俺は今、オマエのために怒ってない
今はただただ
この世界が………
「天上天下、唯我独尊」
五条家の中でもごく一部の人間しか知らない
順転と反転
それぞれの無限を衝突させることで生成される
仮想の質量を押し出す
ーーーーー虚式
【ムラサキ】