第8章 指名
「遅かったな傑、いや…早い方か。都内にいくつ盤星教の施設があるって話しだもんな」
「……悟、だよな?」
夏油は額に汗を滲ませ、驚いたように五条を見つめる。まるでそれは何があったんだ…と言いたげに。
「硝子には会えたんだな」
「あぁ、直してもらった。私は問題ない。いや…私に問題がなくても仕方ないか」
「俺がしくった、お前は悪くない」
「…戻ろう」
「傑」
もう生き絶えた天内理子を五条が抱える。
周りには笑顔で拍手をする沢山の人々。
「コイツら、殺すか?」
特に表情も変えず、静かな声で話す五条は
「今の俺なら、多分何も感じない」
まるでいつもの彼とは別人だった。
「いい、意味がない。もともと問題のあった団体だ。じき解体される」
「意味ね。それ本当に必要か?」
「大事な事だ、特に呪術師にはな…」
夏油は何も色を映さないような瞳で
最後に、そう呟いた。