第8章 指名
「皆、お疲れ様。高専の結界内だ」
「これで一安心じゃな!」
「………ですね」
「そうだね」
「悟、本当にお疲れ」
傑が腰に手を当て悟に微笑む。
「お疲れ様!悟!」
私も悟の隣へ行くとヨシヨシと頭を撫でた。
「二度とごめんだ。ガキのお守りは」
「お⁉︎」
疲れたように溜息を吐きながら悟が術式を解いた時だった……
トス。
不自然なほど小さな音が辺りに響き渡り。
隣の悟は大きく目を見開くと、その腹部からは刀が30センチほど突き刺さっていた。
「ッ悟!!」
隣にいたのに何一つ反応出来なかった!!
後ろに一歩下がるようにして背中に背負う刀を握りしめる。
ここは高専の結界内なのに何でッ
「アンタ、どっかで会ったか?」
悟が額に汗を滲ませながら、ニヤリと笑い冷静な声を出した。
「気にすんな、俺も苦手だ。男の名前覚えんのは」