第8章 指名
海辺に戻ると傑と理子ちゃんと黒井さんが私達を待っていて「そろそろ時間だ」と傑が言う。
そんな傑の言葉に理子ちゃんはしゅんっとまるで耳を垂らした犬のようにうつむき、それを見た悟が。
「傑、戻るのは明日の朝にしよう」
「だか…」
「東京より沖縄の方が呪詛人“じゅそんちゅ”の数が少ない」
無駄にキラーンと交換音がつきそうな顔付きでそんな事を言ってくる。
「もう少し真面目に話して」と呆れながら笑った傑は、悟へ近寄ると耳元で小さく話す。
「悟、昨日から術式を解いていないな。睡眠もだ、今夜も寝るつもりないだろ。本当に高専に戻らなくて大丈夫か」
心配気に目を細める傑に、悟は軽く笑い傑の肩をポンっと叩くと。
「問題ねェよ、桃鉄99年やった時の方がしんどかったわ。それにオマエもいるしな」
悟の言葉に呆れながらも笑って溜息を吐き出す傑。本当この二人って仲良しだな。親友の信頼関係と友情を感じる。
だけど……
「ねぇ悟、私もいるんだけど!」
「はいはい、そうでしたね」
仲間はずれにされ少し強めにそういえば、悟はケラケラと笑った後私の頭を撫でた。