第7章 嫉妬
「…ン…ぅん…」
私の答えを聞いた七海君は、私の額にチュッとキスすると、一度身体を起こして離れベットサイドの棚へと手を伸ばした。
ゴソゴソと何かを取り出しているのか、その様子をジッと見ていると小さく平べったい袋を箱から取り出す。
あ、そうか。ソレをしないとダメだよね。と思ったと同時に…
今日予定の無かったこの行為に対して…どうしてソレがここにあるのかという疑問が頭をよぎる。
七海君が箱から取り出したのは避妊具のゴムだった。
普通に考えたらソレは避妊するためのもので、それ以上でもそれ以下でもない。
だからこそ、何故今七海君が持っているのかという疑問が生まれるわけで…
でも良く考えたら、先ほどからの七海君の行動は全部全部スマートでとっても優しくて、そして手慣れていたように思えてきた。
もしかして…七海君って…そういう事に慣れてるの…?慣れてるからゴムも持っていたの…?
それを、過去に誰かと使ったの…?
今のこの幸せな空間には必要のない、そんな考えが頭を支配していく。
こんな事考えても仕方ないのに。七海君が過去に付き合った女の子がいようと。過去にそういう行為をした事があろうと。私が口を出す資格はないし、嫉妬する必要だってない。
だって過去は過去だし、今付き合っているのは私なんだから。
だけど…七海君ってカッコイイし優しいから…モテなかった訳がない。彼女だっていたに決まってる。
…こんな嫉妬したって…しょうがないのに…