第1章 一目惚れ
「ん、うん…カッコ良くない…?七海君。雰囲気も落ち着いてて大人びてるし」
自分で言った言葉に顔がカッと熱くなっていくのが分かる。
「いや〜私は別にそうは思わんけど。でもじゃあ本当にリンは七海に惚れちゃったわけだ」
硝子が何やらふむふむと納得したように顎に手を置くと、チラリと一瞬悟を見てからもう一度私を視界に入れる。
「いや、別にまだ惚れたとかそういう事じゃなくて…仲良くなれたらな…って思ってるくらいだよ」
こんな話をしている自分が今までは想像も出来なくて、あまりの恥ずかしさにどんどん声が小さくなっていく。
「まだね〜、まだって事は。これからは好きになるかもしれないって言ってるようなもんじゃん」
「…た、確かに。そうかも」
七海君…落ち着いた声のトーンも。冷静そうなその視線も。スラリとした身長も。私にとっては何故だか凄くカッコ良く見えた。
硝子にはこんな風に言ったけど、本当はひと目見て惹かれている自分がいる事には気付いてる。
こんな風に考えてしまうのも、こんな風にカッと顔が熱くなる理由も…
火照る顔をパタパタと右手で扇ぐと、もうこれ以上この話しは続けられないと思い「先に行くからー」と言って足速に廊下を駆け出した。