第7章 嫉妬
七海君の部屋はとてもシンプルに整理整頓されていて、ネイビーに統一されたとても綺麗な部屋だ。
こんなに突然来たのにも関わらず、本棚や机にベットまでも散らかる事なく片付けられている。それがとても七海君らしい。
七海君は私へと振り返るとずっと掴んでいた手を離した。
「それ、何で付けてるの」
七海君は悟のサングラスをコツンと突っつく。
「えっと…ちょっとこれには理由が…」
片眉を歪まし、私を見下ろす七海君はどこか少し機嫌が悪そうで。こんな彼を見たのは初めてかもしれない。
「…七海君…もしかして怒ってる…?」
恐る恐る聞いた私に、七海君は小さく溜息を吐き出すと。私の両肩に腕を置きグッと顔を近づけた。
「怒ってる。何故か分からない?」
「えっと…何でだろう…」
「じゃあ聞くけど、理由って何?五条さんのサングラスを付けてる理由」
切長な目を細める七海君は、私の高さに合わせて身体を屈める。
「目が腫れてて…」
「目?何で」
「ちょっと泣いたから…それで」
「泣いた?」
予想外の答えだったのか、驚いたように細めていた瞳を開くとサングラス越しに私の目を覗き込む。
「何で泣いたの。五条さんと喧嘩でもした?」
「違うよ…」
泣いた理由は七海君でも言えない。だってそれは悟の話に繋がってしまうから。勝手に悟の事を言うわけにはいかないから。