第7章 嫉妬
「…七海君?」
どうしたんだろう?と思いサングラス越しに七海君を見上げると。少しの沈黙後。
「おい灰原。飲み物奢ってやるよ、着いてこい」
紙袋を持った悟がいきなり反対方向へと歩き出し「良いんですか?やった!」と灰原君が小走りで着いていく。
そんな悟に七海君は「すみません、お先に失礼します」と声をかけると、私の手を引き寮の中へと入って行った。
突然の事に何が起きているのか分からず、七海君に手を引かれるがまま着いていく。
歩いている途中「七海君どうしたの?」と何度か聞いたけれど、七海君は早足で歩くばかりで答えてはくれない。
七海君の部屋の前に着き、鍵を開けるといつもよりも乱暴気味にドアを開け私を中へと入れる。
「おじゃまします」一応そう小さく呟くと、七海君に手を引かれたまま慌てて靴を脱いだ。