第6章 偽の彼女
顔を真っ赤にして否定する私に、傑と硝子は可笑そうにケラケラとからかってきて、それを静止するかのようにして悟が口を開いた。
「おっえー、何だよこれ。草しかねェじゃん」
草?と思い悟がペラペラとめくるメニュー表を覗き込むと、お洒落なカフェらしいサラダとオムレツのセットなどが載っている。
「草って…サラダって言って下さい」
「こんなんじゃ腹にたまんねーよ」
「えーじゃあパンケーキとかあるよ?悟好きでしょ」
「まぁ好きだけど。もっとガッツリ系の肉とかねェの?」
「カフェにガッツリお肉は無いよ。多分…」
「マジかよ、じゃあお前ら適当に決めといて」
メニュー表をパタンと閉じ立ち上がる悟に「逃げたな」「逃げたね。これ以上話を聞きたくなかったんだろう」なんて硝子と傑が言い出す。
私には二人の言っている意味がよく分からないけれど「何処行くの?」と立ち上がった悟に聞けば「便所」とだけ言って歩いて行ってしまった。