第6章 偽の彼女
何これ…居心地悪すぎる。
「何であんな事言ったの?」
周りの子達へ一応聞こえないようにコソコソと悟へと話すけれど、周りのざわめきのせいか聞こえなかったらしく悟は「あ?」と言って私の肩を抱いたまま顔を寄せてくる。
「だから何であんな嘘付いたの?この設定必要かなぁ」
さっきよりも少し大きな声でそう言うと、悟はニヤリと笑った。
「あぁ、俺らモテるレベルまで最強だから彼女いるって言わねェと諦めてくんないわけ」
「あぁ、なるほどね…」
悟の言葉に半端呆れながらも納得をし、チラリと後ろの女の子達を見ると、こっちを睨み付けるようにして見ていて。きっと本気で悟と傑を狙っていたのかもしれない。
「モテるのも大変なんだね」
「まぁ俺、イケメンだし」
「自分で言う?普通」
「事実だし仕方ねェだろ」
「あー、ね。顔はそうかもね。カッコイイもんね」
いつもの悟のペースに巻き込まれながらそう答えると、私の肩を抱いていた悟の腕がピクリと揺れる。何だろう?と思い悟を見上げると。
サングラスをしていても分かる。悟の頬が少しだけ赤くなっていた。
「え?照れてるの?もしかして…」
あんなに女の子に囲まれても顔色一つ変えるどころか、面倒くさそうにほとんど無視していたのに…こんな私の一言にまさか赤面するなんて思ってもいなくて。
思わず私は驚いたように目を見開いた。
「んなわけねェだろ。カッコイイなんて聞き飽きてんだよ」
手の甲で口元を軽く押さえながら私から視線を逸らす悟は何だか新鮮で、思わずクスクスと小さく笑ってしまう。