第6章 偽の彼女
「アイツら何処にいるって?」
「電話してみよっか」
硝子と駅前の広場をキョロキョロと見渡しながら携帯をポケットから取り出す。
「その必要はないでしょ。アイツら目立つし
硝子の言葉に、確かにと思いもう一度あたりをぐるりと見渡した所で。一箇所やたらと女の子達が群がっている所を発見する。
「あーあれ、絶対そうだね」
「だね」
その女の子達の集団へと近づけば、やはり中心には私服姿の悟と傑の姿。ただでさえデカくて目立つというのに、あの顔面だ。目立つなという方が無理なわけで…
女の子達から逆ナンされている…それ以外にも遠巻きからチラチラと見る子や「え?何?芸能人?めっちゃカッコイイ」なんて言っている子までいる。
いやいや、彼らはただの高校生です。あれ、ただの高校生ではないか。呪いを祓う事のできる少し変わったただの高校生か。なんて思いながら硝子とその様子を少し遠くから見ていると。
私達に気が付いた傑がいつもの優しい笑顔で手を上げる。それに気付いた悟が女の子達を押し退けこっちへと歩き出した。え?今こっち来るの?その流れで…?何だか私達まで悪目立ちしそうな予感がするんだけど…
まさにその予想は的中し、女の子達は悟と傑が向かう私達の方へと一斉に視線を向けた。
「悪ぃけど、俺らの彼女来たから」
しかも悟は最後にそんないらない捨て台詞まで吐いていく。
え?彼女?何、その設定いる?そんな事を思う暇もなく悟が私の肩を抱き、傑が硝子の隣へとピッタリくっ付く。硝子はそんな傑に「くっ付くな」なんて言っているけれど、きっと周りの女の子達には聞こえていないだろう。
ただひたすらに、私と硝子をまるで見定めるかの視線が私達へと集められた。