第34章 抱きしめてそばにいて
「もしもし、伊地知?僕今日は休むから」
“え?あ?はい?”
「今は任務より愛を優先すべき時なんだ。というわけであとは頼んだよ」
“え?ちょっ!五条さああぁぁぁーーーんッ!!!”
プープープープーっ
「リンちゃんっ、ちゃんと連絡したからこれで一日中一緒にいられるよ♡」
最後物凄い伊地知君の叫びが聞こえてきたけど、これで果たして良いんだろうか…と思いながらも、後ろからは硝子の呆れたため息が聞こえてきて、隣の悟は嬉しそうにニコニコと私へくっついている。
「伊地知は苦労が絶えないな」
「大丈夫、ちゃんと今度労うから」
「うん、そうしてあげて…悟」
伊地知君ごめんなさい、仕事を増やしてしまって…だけど今日一日は悟を独り占めさせて下さい。
「身体は問題なさそうだな、傷も治ったし呪力も安定してる」
「本当に大丈夫なのかよ硝子、もっとよく見て一応もう一回確認しろよ」
「悟やめてよ、硝子がそう言ってるんだから大丈夫だよ」
「そうだけど心配なんだよー、もしリンに何かあったら僕地球滅ぼしちゃう可能性あるよ?」
「滅ぼさないでよ!悟が言うと洒落にならないでしょっ」
「それくらい心配だってこと!」
「リンも子供も大丈夫だ、だから滅ぼすのは辞めてくれよ」
そんな硝子の言葉に、「あー良かった!」と私の隣にピッタリとくっついている悟がほっと安心したように息を吐き出した。
「硝子、ありがとう。あと心配かけてごめんね」
そんな私の言葉に硝子はカルテを書き込みながら「お前が周りに心配をかけるのにはもう慣れた」と呆れた様に言ったあと。
「だけど、本当に…無事で良かった…」
硝子の顔はカルテのファイルで良く見えなかったけれど、少しだけ震えたその声を聞いてもの凄く心配をかけてしまったんだということが分かる。
「うん…ありがとう」
そんな硝子に涙を堪えながら私も震える声で返せば、隣にいた悟が優しく私の頭をぽんぽんと撫でてくれた。