第34章 抱きしめてそばにいて
リンは今、高専内の部屋で治療をしている。
呪いで受けた傷が治り、本来なら身体自体は安定した今病院に入院するのが普通だ。
だがリンは僕の妻だ、普段ならば一級術師という実力もあり心配する事もあまりないのだが…今彼女は意識が戻っていない。
術師界にとって僕の妻という存在は、決して安全な立ち位置ではない。妊娠している分余計にいつ誰に狙われてもおかしくない…呪詛師が殺しにくる可能性だってある。
それほどまでに、六眼を持ち無下限術式を使う僕は常に狙われる対象であり、僕の家族であるリンも子供も必然的に狙われることになる。
五条家当主という権力を持ってしても、そんな奴ら全てを消す事はそう簡単じゃない。
だから夜蛾学長に頭を下げてまで高専に部屋を用意してもらった。ここの結界内ならまだいくらかマシだからだ。それにここには硝子もいる。アイツに診てもらうのが一番安全で信頼出来る。もちろん硝子自身リンを診る事に二つ返事で協力してくれた。
僕も授業の合間や任務の合間の少ない時間でもリンの様子を見にこれる。
まぁ本当なら、任務も何もかも辞めてずっと彼女の側にいたいところだが…そういうわけにもいかない。百鬼夜行直後でさらに人手が不足しているからだ。