第33章 ただ君だけを愛してる
「それよりこの前はゆっくり話せなかったからね、君とリンは結婚したのかい?」
「あぁ、結婚したよ。子供も授かった、まぁこれはついさっき知ったんだけどね」
そんな僕の言葉に「そうか」と傑は穏やかに言葉を落とすと
「良かったよ、本当に。悟とリンが幸せそうで。悟の気持ちがリンに伝わって」
「傑君は相変わらずお節介だな」
「ははっ、悟のリンへの重い恋心を知っている身としては良い報告くらいしてもらわないと困るからね」
「協力一つしなかったくせに良く言うよ」
「まぁ私はリンの見方でもあったからね」
「どういう意味だよそれ、僕じゃリンの相手として不足だったって事かよ」
「そういう訳じゃないさ、ただ私はリンには甘かったって事だ。君ほど彼女に相応しい相手はいないよ。君達ほどお似合いな二人もいないだろう、本当にそう思うよ」
「なら良いけど、僕達めちゃくちゃラブラブなんだからな。オマエ見たらビビるぞ」
「ははっ、別に君達のイチャイチャしているところを見たいとは思っていないけどね」
「傑っ、オマエ本当そういうところ変わってないな!」
「あはははっ、悟、君もね」
「…………」
「…………」
まるで学生時代に戻ったみたいだ。
あの時はこんな日々が当たり前だった。
こうして二人で話す事も、笑い合う事も、くだらない事で言い合う事も。
全てが当たり前で当然だった。
だけど今は違う。
もう僕達はあの頃のままではいられない。
同じ事を繰り返すわけにはいかないから。