第33章 ただ君だけを愛してる
「……何か言い残すことはあるか」
「……誰が何と言おうと非術師は嫌いだ、でも別に高専の連中まで憎かったわけじゃない。ただ…この世界では…私は心の底から笑えなかった」
傑…
オマエは優しい奴だ。
誰よりも、どんな奴よりも。
いつも僕達の中心にはオマエがいたよな。
誰よりも周りを見ていて、誰よりも僕達一人一人を理解してくれていた。
皆んながオマエを頼りにしていたし、皆んながオマエを尊敬してた。
僕はそんなオマエの親友であることが嬉しかったし、本当は自慢だったんだ。
そんなこと素直じゃない僕は小っ恥ずかしくてもちろん言った事も無かったけど。
「傑」
僕はゆっくりと口を開くと、傑を真っ直ぐに見下ろし一つの言葉を落とした。
そんな僕の言葉を聞いた傑は、一瞬目を見開いたあと。
まるで昔のように…学生時代毎日のように見てきたあの笑顔で「はっ」と目尻を下げ優し気に笑った。