第33章 ただ君だけを愛してる
ーーーーーーー高専上空
辺り一面は瓦礫の山が広がり、深くエグり取られた地面。そして無惨にも崩れた建物がいくつか見える。
生徒達は…何とか大丈夫そうか。彼等の呪力を感じる。
傑と戦っていたんだ、怪我もなく無事というわけは無いだろうが。憂太が何とかしたようだな。
僕は一度目を瞑り小さく息を吐き出すと、白い目隠しをゆっくりと外した。
「遅かったじゃないか、悟」
右肩を押さえ、壁にもたれるようにして歩いていた傑は僕を見つけるとその足を止め床へと座り込んだ。
「君で詰むとはな、家族達は無事かい?」
傑の右肩は酷く損傷し血が溢れ出している。コイツがここまでやられている姿を…僕は今まで一度も見た事がなかった。
傑と僕は2人でいれば最強だと、高専時代ずっとそう思ってきた。今だってそうだ…こんな状態にも関わらず…その気持ちは変わらない。
「揃いも揃って逃げ果せたよ、京都の方もオマエの指示だろ」
「まぁね、君と違って私は優しいんだ。あの二人を私にやられる前提で乙骨の起爆剤として送り込んだな」
「そこは信用した、オマエの様な主義の人間は若い術師を理由もなく殺さないと」
そうだ、オマエは優しい。
僕なんかと違って優しいんだ、傑。
「クックックッ、信用か。まだ私にそんなものを残していたのか」
本当だな、自分でも呆れるほどに、僕の中でのオマエはあの頃と変わらず何一つ色褪せる事なく残ってる。
「コレ、返しといてくれ」
傑は何かを僕目掛け投げると、それを右手でキャッチしてから僕は呆れた溜息を吐き出した。
「小学校もオマエの仕業だったのか!!」
「まぁね」
「呆れた奴だ」