第33章 ただ君だけを愛してる
悟…傑を…お願い…
そしてどうか無事で帰ってきて…
2人で待っているから。
私とこの子で待ってるから…
悟が居なくなったのを確認した瞬間、まるで糸が切れたみたいに身体全身の力が抜けていく。
「硝子さんっ!リンさんが!!」
近くで誰かが叫ぶ声が聞こえてくる。
「おいリン!しっかりしろ!おい!!」
硝子の声だ。私を呼んでる…
目の前は次第にボヤけていき、意識も朦朧としている…「硝子、私は大丈夫だから」そう言いたいのに声が出ない…
悟とこの子を守るって約束したんだ。悟の帰りを待つって約束したんだ。
「……さと…る」
私は最後にそう愛しい人の名前を呟くと…朦朧としていく視界の中…ゆっくりと意識を手放した。