第33章 ただ君だけを愛してる
……………
「にん…しん…?」
「そうだよ、お腹に赤ちゃんがいるんだ」
「…赤ちゃん」
私が…妊娠…?お腹に赤ちゃんがいる…?自分の事なのに、まるで自分の事じゃないみたいに聞こえてくる。
「私と…悟の…赤ちゃん」
「うん、僕とリンの赤ちゃんだよ」
私と悟の赤ちゃん。大好きな人との間に授かった大切な存在。
だけれど、とても嬉しいという感情が芽生えた次の瞬間には、自分の心が不安で押しつぶされそうになる。
だって何故なら私は…
「私…妊娠してたなんて…気が付いてなかった…こんな怪我までして…赤ちゃんは平気なの…?」
無茶な戦い方をしていた自覚はある。傷は塞いでくれたと言ってたけど、血をかなり流したのか…今の私は手に力も入らなければ起き上がる事すら出来ない。
瞼も上手く持ち上がらないし、身体中が鉛のように重い。
お腹に向けていた視線をゆっくりと悟へと移すと、不安気な表情で彼を見つめる。