第31章 大切な日
「疲れさま」
「ありがと」
自分の心臓がドクドクとうるさいのが分かる。どうしよう、どのタイミングで切り出そう…悟はいつも私を抱きしめて寝るから、悟が私を抱きしめて来る前に何とかしないとズボン履いてない事がバレる!
そんな事を考えている間にも…悟はいつものように私へと寄り添いグッと距離を縮めてくる。
私はそれに慌ててバッと勢い良く起き上がった。
「いきなりどうしたの!?」
そんな私のいつもと違う突然の行動に、悟は驚いたような顔でギョッとしている。
「あ、あの!!悟!!」
「どうした?顔真っ赤だよ、大丈夫?」
「本当疲れてたら断ってくれていいから!!あと、もし引いたらそう言ってほしぃ…」
「え?何?僕話について行けてない」
私は真っ赤になりながらもどんどんと声を小さくしていくと…震える指先で一気にパジャマのボタンを全部外した。
サテン生地だからか、ボタンが外れた瞬間さらりと肩から落ちていく上着。
私は俯いていた顔をゆっくりと上げ、耳まで真っ赤になっているであろう顔をさらに赤くしながら悟を見つめた。
顔を上げた先に待っていたのは、これでもかと言うほど目を見開き驚いた表情をしている悟の顔。
その表情は、いつものニコニコした表情でも意地悪な表情でもなくて…ポカーンと心底ビックリしたのか薄らと口まで開いている。