第31章 大切な日
悟は帰り道も、何度も薬指に光る指輪を眺めてはニコニコと嬉しそうに微笑んでいた。
そんな悟を見て、私も何度も嬉しい気持ちになった。
あぁ私、この人と結婚して本当に良かったな。そう素直に思える。
「悟ちょっとここで待ってて!2分で良いから!少し待っててね」
「うん?分かった」
家へと着き、リビングのドアの前で悟を止めると私は慌てて冷蔵庫から用意しておいたケーキやら料理やらを出したあと、ケーキにロウソクを立てて火をつける。
そしてもう一度廊下へ行くと、悟の手を引いて今度は二人でリビングへと入った。
その瞬間「うわぁ!!」という声と共に、隣の悟が目をキラキラと輝かせているのが分かる。
「これ、全部リンが用意してくれたの?」
「そうだよぉ、料理もケーキも頑張って作った!」
「飾り付けもすごいねっ」
悟は壁に付けられた風船達を眺めながら嬉しそうな表情を見せてくれる。
「あ!そうだ!火早く消さないとロウソク垂れちゃう」
私はそのまま悟の手を引くと、携帯を取り出してムービーのボタンを押した。
「えーっと、今日は悟のお誕生日です!じゃあ悟ロウソクふーって消して!」
「えー何これなんか照れる〜」
ニコニコしながらもサングラスを外した悟は、私に言われるようにしてロウソクをふーっと消すと、それと同時に私は「おめでとう〜!!」と言いながらパチパチと手を叩いた。