第31章 大切な日
「喜んでくれてよかった」
「こんなの喜ぶに決まってるよ、嬉しすぎて指輪に一生無限かけてたい」
「えへへ」
「僕もリンに付けて良い?」
「もちろん!お願いします」
悟はそのまま私へ温かで優しい瞳を向けると、箱に入っていたもう一つの小さなリングを手に取り、それを私の左手の薬指へと優しくはめた。
「本当だ、すっごく嬉しいね」
悟がはめてくれた指輪を眺めながら、互いの左薬指に付く指輪を見てとても嬉しい気持ちになる。
目に見える私達が結婚したというしるし。
「これで少しは悟がナンパされるのも減ると良いな」
「え?もしかしてリンヤキモチ妬いてくれてたの?」
「妬くよ!だって悟一人でいると本当いつもすぐナンパされてるじゃん」
「え〜リンがヤキモチ妬いてくれてたとか嬉しいなぁ!でもそれ僕のセリフだからね」
「え?何が?」
「自分がどれだけ周りの男から見られてるか全然分かってないんだから、僕いつも君の無自覚具合にヒヤヒヤしてるんだよ。だからこれでやっと僕の奥さんだって分かるようになって嬉しいな」
サングラスの隙間から見える碧色の瞳は、目尻を下げるようにして優しく細められると「リン、ありがとう。最高のプレゼントだよ」と言って私の左手をとると、薬指に光る指輪へそっとキスを落とした。