第31章 大切な日
「これから何処行くの?」
「んーまだ秘密!」
互いの身体を離し、悟が当たり前みたいに肩を抱き私を引き寄せる。
もう12月になり寒いはずなのに、身長の高い悟にすっぽりと包まれているからかとても温かい。
「えー気になる〜、それにしてもやっぱ生リンちゃん最高〜」
「生って言い方」
クスクスと笑いながら悟を見上げれば、悟は嬉しそうに目尻を下げて私を見下ろす。
「だって3日ぶりだよ?僕ずーっと動画見たり写真見たりして我慢してたんだから」
「私だってそうだよ、悟何してるかなーって考えてた」
「え?本当?嬉しい〜僕って愛されてる♡」
この呪術師という仕事は出張が多いのが事実。悟なんか一体月に何度泊りがけの任務に行っているんだ?と思うほどほとんど家にいない時も多い。
まぁ特級呪術師はそれほどいないという事だ。それはつまり特級に対抗できる人間が限られているという事をあらわしている。
そう思うと、悟が忙しいのもどうしても避けられない事実なのかもしれない。
駅に隣接されたビルへ向かうと、煌びやかなショップ達が並ぶブランド階の一つの店の前で足を止める。「ここだよ」と言ってそのま店内へと悟の手を引いて入っると
「え、ここって…」
悟は驚いた表情で大きく目を見開いた。