第30章 紙切れ一枚
グラウンドの階段を降りていると、そんな私達に気が付いたのか「お、悟とそれにリンだ。久しぶりだなぁ」とパンダ君が手を振ってくれる。
「調子はどうだーい?五条先生が体術訓練見てあげるよー」
「皆んな久しぶり、頑張ってるね」
私もそれにニコニコと振り返せば「しゃけ」「こんにちは」「あ、鬼コーチ来た」と棘君憂太君真希ちゃんがそれぞれこちらを振り返った。
「真希ちゃんー、鬼コーチはやめてー!」
「だってリンさんが考えたメニューが一番ハード」
「だってそれは皆んななら出来るって信じてるからね!」
「何かリン、少年漫画みたいなセリフ言ってるぞ」
そんな私と真希ちゃんのやりとりに、パンダ君が笑いながらツッコミを入れた。
「リンさん、今回も稽古つけてもらっても良いですか?」
袋から刀を取り出した憂太君がペコリと頭を下げて真剣な表情で私を見つめる。
「うん、もちろんだよ!前回同様手加減はしないよ」
「はい!よろしくお願いします」
「え〜優太ー、僕じゃなくてリンとやるの?僕が特訓見てあげるなんて貴重だよ?」
「悟は私の相手しろよ、もちろんお前は素手な。無限も禁止」
「真希が僕とやりたがるなんて珍しいね、これは倒しがいがある」
「うるせぇ、そう簡単にはやられねーよ」