第5章 教室
「あの…実はもう一つ話があって…」
正直言ってこの話はするか悩んだ。昨日の悟との出来事…
そもそも悟は冗談というか…ふざけてやった事なんだろうし。もしかしたら今更忘れているかもしれない…
しかも女の子と付き合い慣れている悟の事だ。あんな事気にするに値しないかもしれない。
だから私も無かった事みたいに普通に悟と接したらいいのかもしれない。だけど昨日の最後にあんな喧嘩みたいになっちゃったし。
しかもあんな事があった後に、七海君と付き合う事になったとかどんなタイミングで言ったら良いのかも分からない。
そもそも友達とあんな事をしたら気まずくなるのは当然であって…今日から悟とどんな顔をして会えば良いのか…
「ん?もう一つって?」
「あのね、昨日…悟にキス…されたの」
うつむきながらそう呟いたけれど、しばらくしても硝子からの返事はなく。ゆっくりと顔を上げるとそこには、棒付きキャンディーを口から外し珍しく唖然としている硝子がいた。