第29章 五条家当主
お風呂を上がり、扉の外で待機しているであろう女性に声をかける。すると「失礼します」と言う声のあとそっと戸が開く。
「ではまず、こちらを羽織って下さいませ」
「あ、ありがとうございます」
手渡された浴衣は淡い水色に薄いピンク色をした綺麗なら桜の花びらが描かれている。
とっても綺麗で可愛らしい浴衣だ。
それに見惚れがながらもそっと腕を通すと、女性が素早くお手伝いをしてくれる。
「お名前は、何とお呼びしたらよろしいでしょうか」
目尻を下げ優しく微笑む女性は手際良く手を動かしながらそう問いかけた。
「すみません、名前言ってなかったですね!#NAM2##NAM1#です、よろしくお願いします」
「#NAM1#様ですね、私は三田と申します」
「様なんて付けなくて大丈夫ですよ!普通に#NAM1#って呼んで下さい三田さん」
「では、#NAM1#さんと呼ばせて頂きますね」
驚いたような表情をしていた私に、三田さんはやっぱり優しく微笑むと私へ帯びを巻いていく。
「#NAM1#さんは以前当主様が学生時代の頃、一度こちらにいらっしゃいましたよね。あの時の事は今でも良く覚えています」
「あ!はい、年末に一回来た事があります」
確かあの時この家に入った時、何人かの人達に会った事を思い出す。まさかその時に三田さんもらいたとは。それに凄く一瞬だったのに良く覚えてるなぁ。