第28章 誘拐
「五条家だとか、結婚するのが運命だとか、後継者だとか言ってるけど…本当はただ悟の事が好きなんでしょ。私一人にこんな大勢を襲わせるくらい切羽詰まってるんでしょ。そのくらい悟が好きなんでしょ」
「何を…勝手な事言ってるの…よ」
「あなたを見てれば分かるよ、だって私も悟の事が大好きだから」
「あっ貴方と一緒になんてして欲しくない!!私はッ私はもうずっと前からあの方だけを見てた!!私には悟様しか居ないのよ!!」
「ならどうしてそれを悟に言わないの、五条家だから悟の事が好きなの?婚約者になる予定だったから悟を好きになったの?だとしたら私は貴方に負ける気なんてこれっぽっちもしない。だって私は悟が五条じゃなくても最強じゃなくても、彼が好きで大切だから。その気持ちは誰にも負けない」
「何よそれ…それは貴方があの方から愛されてるから…そんな事が言えるんでしょ…私は…私は悟様に名前すら覚えてもらえてない…」
「私にはあなたの立場も悟の立場もハッキリ言ってきちんと理解してあげる事は出来ない、だからこそ…貴方は親の言いなりや五条家の言いなりになるんじゃなく、きちんと悟自身を見るべきだった。きっと貴方にしか理解出来ない事があったはずだから」
「……っ……」
「悟を貴方に渡す事は出来ない。私はずっと悟の隣にいたいから。彼の側で生きていきたいから。誰に反対されようとも、悟が私を好きでいてくれる限り私は彼の隣に居続ける。だからこれ以上貴方が私や悟に何がするような事があったら、私は貴方を決して許さない」
「……うぅっ…私は…ずっと…悟様だけを見てきた…のに…なんで、あなたなの…」