第28章 誘拐
今日僕がいないのをいいことにリンを狙ってわけだ。コイツらがやりそうなことだ。
「僕を今日ここに呼び出したのはリンを僕から引き離すためか」
冷ややかな視線で見下ろせば、主防犯達が顔を真っ青にし冷や汗を掻きながらガタガタと震え出す。
そんな風になるくらいなら、始めながらやらなきゃ良いものを。
あらかた、任務中の不慮の事故とでも言って片付けるつもりだったんだろう。まぁ僕がそんな事させるはずないけどね。伊地知にはリンの周りで不審な事が起きたらすぐ伝えるよう言っておいて良かった。
アイツには今度ご褒美でもあげないとな。
それにしても…このジジイどもは僕をここまで怒らせたんだから、それ相応の責任を取ってもらわなくては困る。
「こんなアッサリ僕にバレるなんて、随分お粗末な計画だ。それでもお前ら五条の人間か。呆れて物も言えねェなぁ」
瞳孔の開いた目で一人ずつを視界に入れていく。その度古狸どもが唾を飲み込み震えているのが分かる。
「それに僕の恋人を舐めてもらっちゃ困るよ、アイツはそんな簡単にやられるようなヤツじゃない。もちろん素直にいう事を聞くようなタイプでもないけどな」
ははっ、本当疲れるよ。
何故この世界はこんなにも窮屈でクズみたいな奴らで溢れているんだろうか。
「なぁ、どうされたい。今すぐ死ぬか、それとも想像も出来ないほどに痛ぶられて死ぬか」
リンが今どんな目にあっているのか、それを想像しただけで…少し気を抜いたら目の前のコイツら全員をすぐにでも殺してしまいそうだ。
だけど今はこんな奴らの相手をしている暇なんてない。
すぐにでもリンの所へ向かわなければ。
こんなクズどもの相手は後で良い。