第28章 誘拐
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先ほどから何度も鳴るスマホ
今日は本家に行くからと、なるべく連絡しないように言っといたはずだ。そう思いながらもあまりに鳴るものだから話し合いの途中にもかかわらず平然とスマホを取り出す。
画面には想像通りやはり伊地知の文字。
特級案件とかだったら本当面倒だな…そう思いながらも電話へ出ると、受話器越しの伊地知がいつもの気力ない言葉とは違い焦ったような声を出した。
“五条さん大変です!”
「何だよ、そんな慌てて。僕今忙しいんだけど」
“影千佳さんの任務先で問題が起きました!!”
「はぁ?」
伊地知の言葉に、持っていたスマホを強く握りしめ眉間にシワを寄せる。
“本日二級呪霊数体の任務だったはずなのですが、現在帳内にて呪霊では無い何者かと戦闘中とのことです!!”
「呪霊ではない何者か?」
僕がそう言った瞬間、室内にいる人物数名の呪力がほんの少し乱れたのを感じる。
なるほど、そういう事か。
集められた五条家の上層部。
しばらくはかかりそうなほど用意された仕事量。
まぁ全員が全員グルではないだろう、ほんの一部のゴミクズみたいな奴らの仕業か。
僕はゆっくりと立ち上がり電話を切るとサングラスを外し古狸どもを見下ろす。